先生の隣にいたかった


その後、先生と別れて私は、寮に帰った。


「あ!いお、おかえり」

「ただいま」




放課後に、先生と教室で聞いた音。


これも私の中で、大切な思い出になった。


先生との思い出が、
こんな風に良いことだけだったらいいのに。




「先生と話せた?」


キラキラと目を光らせて、聞いてくる莉乃。


「うん、話せたよ」

「どんな話したの?」


莉乃は興味津々だった。

だから、私は朝の出来事と、
放課後の出来事を話した。



でも、先生が
何かに苦しんでいるということは、
言わなかった。




「…青春だね」




青春…。

そっか、これを青春って言うんだ。





明日も明後日も、
ずっと先生に会えるんだよね。





私が卒業するまでは。




その嬉しさを胸の中に入れて、
そっと蓋をした。


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