先生の隣にいたかった


問題もなく、無事に退院して寮に帰った。

莉乃は学校に行っているから、寮には私しか生徒がいなかった。



お昼前ぐらいに、私も寮を出て、
学校に向かった。


校門をくぐった時だった。



「七瀬さん、おはよう」



声がする方を見ると、先生が立っていた。


これで分かった気がした。



先生は、私に壁を作ってたんじゃない。



学校では名字で読んで、


二人になれば、
名前で呼んでくれてるんだって。


それが分かって、嬉しくなった。


その嬉しさが滲み出たのか、挨拶を交わすと先生は、元気だねって返してくれた。




「もう体調は大丈夫?」


「はい、元気です」


そのまま先生と笑い合いながら、
教室に向かった。



前の気まずさがなくなったように、話せた。



これでいいんだ。


私はこれ以上、何も先生に求めない。



ただ、先生とこうやって、笑い合いたい。



ずっと隣にいたい。



私が卒業するまでは、ずっと。
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