先生の隣にいたかった

「いお、おはよう」


「おはよう、日向」


「もう大丈夫なの?」


「うん、大丈夫」


教室に入るとすぐに、
日向が駆けつけてくれた。



その後、私たちは普段と変わらず、
授業を受けた。



授業が終わった時、
日向が何か言いにくそうに、
私のところに来た。



「どうしたの?」



「…あのね、今からまた、リレーの練習をしようって言われたんだけど、いおどうする?」



きっと日向は、
私のことを気づかってくれていた。



正直、まだ少し怖いけど、
迷惑だけはかけたくなかった。


「…わかった。私もする」



「無理はしないでね」


「うん、ありがとう」


「じゃあ、行こ」


日向と一緒にグラウンドに出ると、
リレーに出場する生徒が沢山いた。


もう逃げたくない。



それに、先生も応援してくれたから。




「いお」


「うわぁ!え、何?」


「ナイスキャッチ」


振り返ると、翔太がジュースを投げてきた。



「応援してる」



それだけ言って、
翔太は背を向けて歩き出した。




「…あ、ありがとう!」



そう言うと、翔太は何も答えず、
右手を上げて手を振った。



「いお、行こ」



「…うん」



私にはたくさんの仲間がいる。




その嬉しさを胸に、




私は一歩踏み出した。


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