先生の隣にいたかった
練習が終わって、
私はいつものように屋上に来ていた。
前にここで話したのは、
先生が悩んでいることだった。
それを思い出すと私も辛い。
でも、もう先生には、
何も求めないって決めた。
ただ一緒にいたい。
それだけだから。
そんなことを考えていた時、
屋上の扉が開く音がした。
「先生」
「お疲れ様」
そう言って、先生は私の隣まで歩いて来る。
「みんなのおかげです。
…先生と」
「俺?」
「はい、先生です」
そう言うと先生は、考え込んだ。
多分、先生は、
自分は何をしたのだろうって、考えている。
でも、答えが出ないのなんて当たり前だ。
だって、先生は、
頑張れ、応援してる。
これしか言わなかったから。
でも、私にとって先生の言葉が
……大好きな人の言葉が、
なによりも、心の支えだったから。
「…ありがとうございます」
分からなくてもいい。
でも、直接ありがとうって
伝えておきたかった。
「…先生」
「何?」
先生に出会えて良かった。
先生は、私のことどう思っているのかな。
私と出会えて良かったって
思っているのかな。
「…どうした?」
「…体育祭、応援しててくださいね!私たち、リレーで一位、取りますから」
「ちゃんと見とく」
学校に行けば先生に会える。
大好きな人に。
でも、ずっとは続かない。
私が卒業するまでだから。
こうやって、先生と二人で話す時間も、
永遠なんかじゃない。
だから、この瞬間も、
私は大切にしたいと思った。