先生の隣にいたかった

次の日、熱は37度まで下がっていた。



「じゃあ、採血するね」



そう言って、
私の身体からどんどん血が抜かれていった。



それを見ていると、
だんだんと意識が遠のいていく。




「…七瀬さん?」



主治医が私を呼んだ瞬間、
私の意識は途絶えた。




そして私はその時、夢を見た。

一度見たことがあるような夢だった。


私が行かないでと何度も何度も泣き叫ぶ。

でも、それを誰に言っているのかは
分からなかった。




霞がかかったように、
視界がぼやけていたから。



でも、今の私にとって


こんなにも泣き叫んでまで、行って欲しくない



そばにいて欲しい人は、



先生しかいなかった。





先生がいなくなると思うと怖い。




だから、夢だと分かっていても
ただ願った。



この人が、




先生ではありませんように、と。



何度も何度も繰り返した。


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