先生の隣にいたかった
〜過去〜
「退院おめでとうございます」
「ありがとうございました」
あれから1週間、私は熱も下がったので、
退院することになった。
少し長い入院だった。
本当に色んなことがあった。
私は、みんなに助けられた。
特に先生。
あの時、何度もありがとうって心の中で伝えたけど、それだけじゃ足りない。
先生を想う時、きっと私は感謝し続ける。
でも、それは悪い事なんかじゃない。
私がそうしたかっただけだから。
「七瀬さん、忘れ物ない?」
「はい」
退院の日、寮長が迎えに来てくれていた。
「先生、ありがとうございます」
「…何が?」
「…全部です」
熱が続いて、病院に行った日、
入院が決まった日、
退院の日、
先生は送迎してくれたから。
「…よし、帰ろうっか」
「はい」
先生が先に病室を出た後、
私は一人、病室を見渡した。
もう、戻って来ることがありませんように。
そう願って、私は笑顔で病室を後にした。