先生の隣にいたかった
「先生…
いおのこと好きなんですよね」
「!?
…生徒としてね」
俺が聞いた瞬間、驚きを隠せていなかった。
生徒としてなんかじゃない。
先生は、いおを一人の女性として、
好きなんだと思った。
「…本気じゃないなら、これ以上、いおに対して特別扱いするのは、やめてください。
…いおに勘違いさせるのは、
やめてください」
ここまではよかった。
でも俺は、分かってるくせに、分からないふりをする先生に、腹が立って言ってしまっ
た。
「…いおは、先生のことが好きなんです。
本気で想っているんです」
こんなこと、絶対俺が言うことじゃない。
頭ではわかっていたのに、
その時の感情に流されて言ってしまった。
「…俺は七瀬のこと…
…好きじゃない」
そう言う先生は、真剣だった。
でも、いおがこれを知ったら、
きっと、大丈夫って言いながら
一人で苦しむ。
好きな人が苦しむ姿は、見たくない。
だから、言えなかった。
あの日のことは。