先生の隣にいたかった




「そっか…





シュート、外したって?」




「はい…」


少し微笑んでから、先生はこう言った。






「…いいやつだな」





「え…?」








「……シュート








…決まってないって嘘だよ。







……綺麗に決まってたよ」



決まってた…?



でもあの時、ダメだったって。



その時、伊月君が言ったことを思い出す。




(こんなやり方はやめるね?

…ごめんね、困らせて)




「成川、相当いおのこと好きだね」



「だからって…」




「…行っておいで。
行って、ちゃんと伝えておいで?


自分の気持ち。



……花火終わっちゃうよ」




先生が言う、花火が終わると言うのは、
みんなが帰ってしまうということだった。



花火の終わりが、文化祭の幕を閉じると言うことだから、花火が終われば、みんな下校する。







「…屋上で待ってる」






「!?」 







 
「ほら…早く行っておいで」




先生は、私がもっと先生といたいと思っていることが、分かったのかもしれない。



だから、私は、先生に背を向けて走った。



一番背を向けて走りたくない人。



なのに、今日一日で、
2回も先生をおいて行ってしまった。




ずっと、一番一緒に、




…隣にいたい人なのに。





でも、それでも私は、
今きちんと伝えないといけなかった。



これ以上、
伊月君を振り回したくなかったから。







傷つけたくなかったから。



< 68 / 97 >

この作品をシェア

pagetop