先生の隣にいたかった


「で、誰のことが好きなの?」



「ち、違うよ。

ただ、その…しゅうくんと別れる時にね、恋愛として、好きじゃないって言ったんだけど、恋愛として好きって、どんな気持ちなのかなって思って」




「へ〜、恋愛として好きとは、どんな気持ちかって?気になるよね〜」



ダメだ。

咲は、完全に私をからかっている。


「私に聞いても、いおのためにならないかもよ?それでもいい?」


「うん、聞きたい。

咲にとって、相手を好きになるって、どんな感じ?」


「そうだな。

まず、人によって、好きの基準は違うと思う」


「…好きの基準?」


「そう。どこから好きで、どこからが友達なのか。

まぁ、これに関しては、経験しないと分からないんだけどね。

でも、好きってことは、その人の事をずっと考えてるんだと思う。


なんか、頭から離れないって感じ?」



頭から離れない人。


いつもその人の事を考える。


「…先生」


「先生?」


「え!?あ、いやなんでもない」



「まぁ、とにかく、その人のことが、頭から離れなかったり、その人の事ばかり考えてるんだったら、多分その人のことが、好きだって事だと思うよ」



好き…。


そっか、私は先生が好きなんだ。




「いお。もちろん恋をするのは、素敵なことだけど、よく考えることも大事だからね」




「…どうゆうこと?」




「だから、どんな形であっても、諦めたらダメってこと」




「…どんな形であっても?」



「そう。だから、頑張ってね、いお」




「うん…え、いや違うよ?」





「もう隠さなくてもいいよ。バレバレだから。じゃあ、また明日ね」




そう言って、咲は帰って行った。

最後の最後まで、違うって言ったけど、もう咲にはバレてたみたい。

ありがとう。



でも、もし私が、先生のことが好きだって言ったら、同じように応援してくれてたのかな。




多分、私のことを思って、やめなって言ってたと思う。



でも、もう無理だよ。


先生の事を好きだと自覚してしまえば、簡単に諦めるなんて出来ない。




だから、咲が言ったように、私は諦めなよ。 





例え、先生と生徒の形の恋だとしても。


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