先生の隣にいたかった
時間はあっという間で、
もうすぐ冬休みになろうとしていた。
「いおちゃん、冬休みどうするの?」
突然話しかけてきたのは、伊月君だった。
「私は家に帰ろうかなって思ってて」
「そっか。
…冬休み、どんなふうに過ごしたい?
…誰と過ごしたい?」
どんなふうには分からない。
分からないけど、私は先生と過ごしたい。
無理なのは分かっているけど、
少しでも長く先生といたかったから。
「…大好きな人と過ごしたい」
「…了解。
その願い、俺が叶えてあげる」
伊月君はそう言った。
迷いなくはっきりと。
私の好きな人は先生だから、
そんな願い叶うはずもないのに。
それでも嬉しかった。
伊月君の言葉の一つ一つが、私の中の凍りついた心を少しづつ溶かしてくれたみたいだった。
「…ありがとう」
私がそう言うと、伊月君は笑顔で頷いた。
もし、先生と過ごすことができるなら、
私は先生に言いたい。
私の気持ち全部ぶつけたい。
もう、今までのような関係ではいられないかもしれないけど、大好きな人の前では、もう逃げたくなかった。
翔太も伊月くんも、私に気持ちを伝えてくれたから、私も伝えたい。
振られたとしても、気持ちを伝えない方が、 後悔すると思うから。
それに、分からないけど、
先生が突然いなくなる気がして。
もう後悔だけはしたくないから。