先生の隣にいたかった
 

入試が終わってから2週間。


とても長く感じた。

今までは、先生何してるんだろうって考えてたけど、今はただ会いたい。

それだけだった。



「合格者の方は、教室に入ってください」



受かった生徒たちは案内に従い、
どんどん校内に入っていく。


みんな親と来ていたが、私は一人だった。


見る時は、誰でも落ちることに対して、怖いって思うのが普通。


でも、私は違った。


もし落ちてしまったら、もう先生に会えなくなる。


その事しか、頭になかった。




「七瀬さん」




「…先生?」           


声をかけられ、振り向くと、ずっと会いたかった人。



…先生が目の前に立っていた。


「えぇ、なんで泣くの?」



私でも分からない。


ただずっと、先生に会いたかったから。


だから、嬉しくて。




「あ、受かったからか」



「え…?」




「3番でしょ?ほら」




そう言って、指を指す方を見ると、確かに私の受験番号が書いてあった。




「うそ…」








「おめでとう。ほら、教室行っておいで」




その言葉が、また優しく聞こえて、

これからも、先生に会える事が嬉しくて、

涙が一つ、二つと頬を伝った。



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