先生の隣にいたかった
「どうして、泣いてるの」
頭上から声がして、顔を上げようとした瞬間、私は、何か暖かいものに包み込まれた。
顔が見れなかったけど、
匂いですぐにわかった。
「…しゅう君…」
私が名前を呼ぶと、身体がそっと離れた。
そして、顔を上げると
優しく微笑むしゅう君が立っていた。
「こんな寒いところにいたら、風邪ひくよ?」
そう言って、
しゅう君はそっと涙を拭ってくれた。
私はその優しさに余計、
涙が止められなかった。
「…何があったの?」
しゅう君はそう言いながら、
私の腕を引き、そっと抱きしめてくれた。
私は少しの間、しゅう君の腕の中で泣いた。
何も言わず、ずっと泣いている私に、
しゅう君はこれ以上、何も聞かなかった。
ただ、黙って、私の背中をトントンと、
泣いている赤ちゃんをあやしているように
優しくしてくれた。
私は、安心したのか、泣き止む頃には、
しゅう君の腕の中で眠っていた。
「…いお?
眠っちゃったの?」
だから私は、
しゅう君が声をかけてくれていたのも知らず、そのまま深い眠りに引きずり込まれた。