先生の隣にいたかった
「今日のテストの結果で、
英語と数学はクラスが変わるんだって」
「そうだよね」
勉強はしっかりした。
英語で下のクラスに行ってしまうと、本当に、先生との関わりがなくなってしまうから。
「テストするから座って〜」
そう言って教室に入ってきたのは、
緑川先生ではなく、柴咲先生だった。
「じゃあ、
チャイムがなったら始めてください」
それだけ言うと、
先生もみんなも一切話さなくなった。
少しでもいいから、
先生の視界に私を映して欲しかった。
みんなは下を向いて、私は先生を見ているのに、先生は私をみることはなかった。
三学期で目が合ったのは、
授業以外ではなかった。
「では、始めてください」
先生がそう言うと、
みんなが一斉に問題を解き始める。
私も、目の前にある問題を解き始める。
せめて、英語だけでも
いい点数をとりたかったから。
テストが終わったら、きちんと先生と話そう。
もうこれ以上は
…辛いから。
振られるんだったら、ちゃんと振って欲しい。
だから、せめて今だけは、
テストに集中した。
テスト中、
先生が私を見ていたことなんて知らないで、
ただ夢中に問題を解いた。