先生の隣にいたかった





「おはよう」







「いお!久しぶり!また同じクラスだよ」






そう言って、
嬉しそうに私に抱きついてくる日向。






「日向が同じクラスでよかった」




「私も。


…でも、翔太君は離れちゃったね」







そう言われてから、
教室を見渡すと、翔太の姿はなかった。








そして、伊月君の姿も。






 




2年1組。







教室は何も変わらない。







そして、担任の先生もまた緑川先生だった。







でも、生徒が変わるだけで、教室の雰囲気が、一気に変わったように思えた。








そして、学年主任で
副担任だった先生も、もういない。














「英語…いおも上のクラスだよ」








「…そっか」







先生…私頑張ったよ、英語。






でも、それは先生がいたからで、これから何を目標にすればいいのか分からないよ。









「いお…?どこいくの?」







「ちょっとお手洗い」






そう言って、私は屋上に向かった。








 


そっと扉を開けて外に出る。




きっと、ここに先生がいたら



(サボり?)



って言うと思う。





今でも、鮮明に先生を思い出す。









もし、今、願いを叶えれるとするなら、
私はもう一度だけ先生に会いたい。








そして、もう一つだけ、
言えなかったことを伝えたかった。










少しして、椅子に座ろうとすると、
下に紙が落ちていることに気づいた。






拾ってみると、それは手紙だった。








後ろに両面テープが貼ってあったから、きっと椅子の裏に貼ってたのが、剥がれたんだろう。







そして、表に向けると









私の大好きな字で、丁寧に







[いおへ]








と書かれていた。









その字は間違いなく、先生の字だった。



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