先生の隣にいたかった



字は下手くそだけど、
一文字一文字がとても丁寧で、
私には綺麗に見えた。




私が先生に言いたかったことを
先生は全部、私に伝えてくれた。








私も先生に伝えたかった。










先生に出会えて良かったと。









泣くんじゃなくて、
笑顔でお別れしたかった。





今さら、そんな後悔をする。










「…先生…」







そう口にすると、溢れ出す涙。







でも、もう涙を拭ってくれる先生は、
隣にはいない。







早く前に進まないといけないのに











今の私には、どうしてもできなかった。









いつも先生を探してしまう。





いないって分かってても、
どこかで期待してしまう。












「…会いたい…」













そんな私の願いなんか、叶うはずもなく、
周りの冷たい空気に掻き消される。









でも、先生は前に進むために、私から離れた。












だから、私も少しづつでいいから、
進まないといけない。











それに先生は、いつも私の苦しみを全部、
愛に変えてくれてたんだね。














先生がいたから、私は変われた。














私が、私でいられるようになったのも、







本気で恋をさせてくれたのも、






全部先生がいたからだった。














辛いけど、手紙を読み終わる頃には、
ちゃんと前を向ける気がしたんだ。













大好きな人の言葉だから、
その言葉を信じて前を向いて、
一歩ずつ歩いていくよ。









だから、ありがとう、先生。










大好きだよ。










これからもずっと。






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