せっかく侍女になったのに、奉公先が元婚約者(執着系次期公爵)ってどういうことですか ~断罪ルートを全力回避したい私の溺愛事情~
侍女になると決めた二日目の夜。お父様が私を呼び出した。
「婚約破棄と退学については、無事に手続きが終わったぞ」
「もう!? さすがお父様! 仕事が早いのねっ」
両手を合わせて猫なで声で褒めると、お父様は自慢げにふんと胸を張っている。
――よかった! これでひとまず、クラウス様とリーゼからは離れられる!
私は心の中で、大きくガッツポーズをした。
「それと――早速だが、侍女としての勤め先も決まった。ユリアーナがなるべく早く奉公に出たいと言っている旨を伝えると、明後日から受け入れてくれると言ってくれてな。大丈夫そうか?」
「もちろん! 荷物は今夜にでもまとめておきますわ!」
こんなにとんとん拍子に話が進んでいいものなのか。私って、もしかしてめちゃくちゃラッキーなんじゃ? お父様の話を聞きながら、私はにやにやが止まらなかった。
「それで、勤め先はどこなんですの?」
どこか遠縁の貴族の屋敷? それとも王家にまつわる高貴な屋敷? はたまた王宮!?
ドキドキしながらお父様の答えを待っていると――。
「シュトランツ公爵家だ」
「……ん?」
まさかの聞き慣れた名前に耳を疑い、言葉を失った。
なんと私の勤め先は、元婚約者であり物語のヒーロー。つまりこの世界でいちばん関わりたくない男、クラウス・シュトランツの屋敷だったのだ。
「婚約破棄と退学については、無事に手続きが終わったぞ」
「もう!? さすがお父様! 仕事が早いのねっ」
両手を合わせて猫なで声で褒めると、お父様は自慢げにふんと胸を張っている。
――よかった! これでひとまず、クラウス様とリーゼからは離れられる!
私は心の中で、大きくガッツポーズをした。
「それと――早速だが、侍女としての勤め先も決まった。ユリアーナがなるべく早く奉公に出たいと言っている旨を伝えると、明後日から受け入れてくれると言ってくれてな。大丈夫そうか?」
「もちろん! 荷物は今夜にでもまとめておきますわ!」
こんなにとんとん拍子に話が進んでいいものなのか。私って、もしかしてめちゃくちゃラッキーなんじゃ? お父様の話を聞きながら、私はにやにやが止まらなかった。
「それで、勤め先はどこなんですの?」
どこか遠縁の貴族の屋敷? それとも王家にまつわる高貴な屋敷? はたまた王宮!?
ドキドキしながらお父様の答えを待っていると――。
「シュトランツ公爵家だ」
「……ん?」
まさかの聞き慣れた名前に耳を疑い、言葉を失った。
なんと私の勤め先は、元婚約者であり物語のヒーロー。つまりこの世界でいちばん関わりたくない男、クラウス・シュトランツの屋敷だったのだ。