閉鎖夢物語
地獄と天国
ここがマイヒィーア王国…。
門の先には随分と長く伸びた大通りがある。その先には西洋風の巨城がそびえ立っている。大通りには、商人や運搬人な民間人、馬車や兵隊のような人たちが横行している。商人には、馬に荷物を乗せている者と、巨大なリュックサックやトランクのようなものを背負っている者がいる。商人は一貫して赤いバンドのようなものを頭につけているが服装は様々だ。運搬人は大きい荷物を持っているだけで服装的な特徴はないが、頭にバンドをつけているかいないかで商人との判別がつく。民間人はどれも同じような服装をしており、男性は白のシャツに茶色のズボン。女性は白のシャツに茶色のスカートを身につけている。兵隊は全員、西洋風の甲冑を着ており目だけが鎧の中から見えるようになっている。馬車も西洋風であり、随分と豪華だ。まさに貴族が乗るような馬車といった感じで、側面は暗い赤色で塗装されており窓があるが、黒いカーテンが閉められていて中は見えない。屋根には金色の装飾が施されている。黒色の車輪は前方が小さく後方が大きくなっているようだ。大通りに並ぶ建物の数々は、店がほとんどのようで、商店街のように見える。奥にある居城以外の建物はほとんどが大きくも高くもなく、高いものがあるとしたら、右に見える時計塔くらいだ。
俺達が乗っている馬はそのまま大通りを突き進んでいった。大通り沿いの軒並みを見てみると、食材店、靴屋、飲食店、薬屋など、多種多様な店がある。大通りを進むにつれ、ぼんやりとしか見えなかった城が鮮明に見えてきた。城の周りにも5メートルほどの壁があるが、街の外壁とは違い城の外壁は石レンガでできている。城自体の壁もほとんどが石レンガで作られていて、屋根は焦げ茶色の円錐か三角屋根のみだ。いろいろ観察していると、馬が左に曲がった。大通りの二分の一ほどの5メートルぐらいの道幅の道に入り、すぐにまた右に曲がった。大通りからぬけると、ほとんど住宅しかない。少し店があるようだが、簡素なものが多い。しばらく進むと、右へ曲がり、また大通りに出た。
「横道を通った方が早いんですよ。大通りは混雑してて思うように進めなくて…。」
彼女はそう言った。何回も通ってるからこそ分かるのだろう。もう目の前に城が見える。デカすぎで全体像が見えなくなるほどだ。どんどん城へ近づいていき、外壁の門の近くまで来た。城の外壁の門にも門番のような人達が中へ入ろうとする人達を検問していた。10人ほどの門番がいて、一人一人検問をしている。並ぶ人もかなりいたため、俺達の番がくるまで10分ほどかかった。俺達の番がきて、男の門番が話しかけてきた。彼女は先程と同じように紙を出した。今度は彼女も馬に乗りながら話し合っていたから会話がよく聞こえた。
「後ろに乗っている方は?」
門番が言った。
「調査をしている途中に見つけまして…。どうやら足を骨折してるみたいなので連れて帰っているところです。」
「どこで見つけたのですか?」
「えーっと……」
彼女はしばらく黙っていた
「アグリオス平原です。」
「後ろの君、なんでそんなところにいたんだ?」
門番が俺を見て言った。
「それが…俺もわからないんです。」
「そうか。名前は?」
「加瀬 凛太郎と言います。」
「あなたは通って大丈夫です。この男は私共の方で処理しますのでご安心ください。」
門番が彼女に言った。
「いえ、そのような事をしてもらわなくても私の方で何とかしますので。」
彼女が言うと、
「見ず知らずの男を通すわけにはいきません。」
「でも、どうやってつれていくんですか。この人は足を骨折しているので動けませんよ。」
「車椅子がありますから、移動に問題はありません。」
「そうですか…。」
俺は門番によって馬から下ろされた。地面足がつき、地面に横たわった。かなりの負担が足にかかったため、ひどい痛みが襲った。そして、彼女は城の中へと消えてしまった。
なんて薄情な女なんだろうと思った。だが俺は冷静さを欠けたわけではない。どうせこれはリアルな夢に過ぎないのだと思っていたからだ。また目が覚めればこんな地獄を味合わなくて済む。すぐに夢から覚めるだろうと、根拠のない自信を持っていた。
門番は他の門番に俺を見張るよう指示し、城のに入っていった。もし看護されるなら、可愛い人がいいなぁなどとと思っていた。
しばらくして、誰かが空席の車椅子を引いてきた。やっときたかと見上げると、そこには女性の姿があった。白色のナース服を着ているが、ドレスのようなスカートだ。スカートの下部分は紺色や山吹色の模様があり、上半身のナース服部分はタンクトップのようになっているが、下に紺色のシャツを着ている。頭にはナース特有の帽子をかぶっているが、十字架は書かれておらず、山吹色の模様が書かれている。そして、顔はかなり可愛い。大きな黒色の目に高い鼻、白い肌に首まで伸びた黒髪。この女性もどちらかといえばアジア系に近い顔立ちをしている。というかこの街の人全体がそうだ。アジア系とヨーロッパ系が混ざったような、どちらかといえばではあるが、アジア系の顔立ちが多いような気がする。
「お待たせしました。えっと…確かカセ リンタロウさんですよね。名前の方は聞いてます。」
彼女はそう言った。先程指示された門番が俺の膝下と胴体の下に手を入れ持ち上げ、車椅子に乗せた。
「今から治療室に向かいます。」
夢だとしてもこんなにも好みの女性に話しかけてもらえることを嬉しく思った。
彼女に押されながら、城の中へ入った。城の中には歩行者用と乗り物用に歩く道が分かれており、乗り物用の方は階段ではなく坂になっているようだ。乗り物と言っても車椅子や馬車だけでなく、ただ馬に乗っている人も使っている。
「調査団の方ですか?」
彼女が言った。どうやら事情は聞いていないようだ。
「えっと、いや、違います。」
「えっ!?違うんですか!?私、てっきり調査団の方がタイラントにやられたのかと…。」
「タイラントにやられたのはそうなんですが…。実は俺が目を覚ました時、なぜかアグリオス平原にいてそれで…。」
「そうなんですか…。でもどうやってここまで?」
「調査隊の人に助けてもらったんです。」
「アグリオス平原の調査隊…。第三調査隊の人ですかね…。」
「えっ、調査隊にも種類があるんですか?」
「はい。調査隊はそれぞれ調べるエリアが違っていてアグリオス平原を調べるのは第三調査隊なんです。その調査隊の人を第三調査兵とか言ったりします。あと、全ての調査隊の総称を調査団って言います。」
「調査隊にもいろいろあるのか…。」
「あっ、それと、足が治ったら諸侯に連絡するように言われてるのでもしかしたら大事になるかもしれません…。」
「ショコウ?」
「簡単に言えば、王様の次に偉い人です。あんな危険地帯にあなたのような人が1人でいるなんて異例ですからね。しかも、この国に来てしまったのですから放っておくわけにもいかないでしょうし…。」
まぁ、何か大事になってもなんとかなるだろう。というより、大事になる前に目が覚めればなんの問題もない。
「心配しないで下さい。きっとなんとかなりますから。」
すると彼女が、
「死刑にはされないと良いのですが…。」
と言った。彼女とは会話が進み、楽しかった。調査隊の女とは全然話せなかったし…。この地獄のような数時間が報われた気がした。
「着きました!」
俺は彼女に意識をとられ、全然気づかなかったが、両隣に木製の扉がある。よく見てみると、似たような扉が周りに何個も並んでいる。彼女は左の扉を開けると車椅子を推し、中に入っていった。
門の先には随分と長く伸びた大通りがある。その先には西洋風の巨城がそびえ立っている。大通りには、商人や運搬人な民間人、馬車や兵隊のような人たちが横行している。商人には、馬に荷物を乗せている者と、巨大なリュックサックやトランクのようなものを背負っている者がいる。商人は一貫して赤いバンドのようなものを頭につけているが服装は様々だ。運搬人は大きい荷物を持っているだけで服装的な特徴はないが、頭にバンドをつけているかいないかで商人との判別がつく。民間人はどれも同じような服装をしており、男性は白のシャツに茶色のズボン。女性は白のシャツに茶色のスカートを身につけている。兵隊は全員、西洋風の甲冑を着ており目だけが鎧の中から見えるようになっている。馬車も西洋風であり、随分と豪華だ。まさに貴族が乗るような馬車といった感じで、側面は暗い赤色で塗装されており窓があるが、黒いカーテンが閉められていて中は見えない。屋根には金色の装飾が施されている。黒色の車輪は前方が小さく後方が大きくなっているようだ。大通りに並ぶ建物の数々は、店がほとんどのようで、商店街のように見える。奥にある居城以外の建物はほとんどが大きくも高くもなく、高いものがあるとしたら、右に見える時計塔くらいだ。
俺達が乗っている馬はそのまま大通りを突き進んでいった。大通り沿いの軒並みを見てみると、食材店、靴屋、飲食店、薬屋など、多種多様な店がある。大通りを進むにつれ、ぼんやりとしか見えなかった城が鮮明に見えてきた。城の周りにも5メートルほどの壁があるが、街の外壁とは違い城の外壁は石レンガでできている。城自体の壁もほとんどが石レンガで作られていて、屋根は焦げ茶色の円錐か三角屋根のみだ。いろいろ観察していると、馬が左に曲がった。大通りの二分の一ほどの5メートルぐらいの道幅の道に入り、すぐにまた右に曲がった。大通りからぬけると、ほとんど住宅しかない。少し店があるようだが、簡素なものが多い。しばらく進むと、右へ曲がり、また大通りに出た。
「横道を通った方が早いんですよ。大通りは混雑してて思うように進めなくて…。」
彼女はそう言った。何回も通ってるからこそ分かるのだろう。もう目の前に城が見える。デカすぎで全体像が見えなくなるほどだ。どんどん城へ近づいていき、外壁の門の近くまで来た。城の外壁の門にも門番のような人達が中へ入ろうとする人達を検問していた。10人ほどの門番がいて、一人一人検問をしている。並ぶ人もかなりいたため、俺達の番がくるまで10分ほどかかった。俺達の番がきて、男の門番が話しかけてきた。彼女は先程と同じように紙を出した。今度は彼女も馬に乗りながら話し合っていたから会話がよく聞こえた。
「後ろに乗っている方は?」
門番が言った。
「調査をしている途中に見つけまして…。どうやら足を骨折してるみたいなので連れて帰っているところです。」
「どこで見つけたのですか?」
「えーっと……」
彼女はしばらく黙っていた
「アグリオス平原です。」
「後ろの君、なんでそんなところにいたんだ?」
門番が俺を見て言った。
「それが…俺もわからないんです。」
「そうか。名前は?」
「加瀬 凛太郎と言います。」
「あなたは通って大丈夫です。この男は私共の方で処理しますのでご安心ください。」
門番が彼女に言った。
「いえ、そのような事をしてもらわなくても私の方で何とかしますので。」
彼女が言うと、
「見ず知らずの男を通すわけにはいきません。」
「でも、どうやってつれていくんですか。この人は足を骨折しているので動けませんよ。」
「車椅子がありますから、移動に問題はありません。」
「そうですか…。」
俺は門番によって馬から下ろされた。地面足がつき、地面に横たわった。かなりの負担が足にかかったため、ひどい痛みが襲った。そして、彼女は城の中へと消えてしまった。
なんて薄情な女なんだろうと思った。だが俺は冷静さを欠けたわけではない。どうせこれはリアルな夢に過ぎないのだと思っていたからだ。また目が覚めればこんな地獄を味合わなくて済む。すぐに夢から覚めるだろうと、根拠のない自信を持っていた。
門番は他の門番に俺を見張るよう指示し、城のに入っていった。もし看護されるなら、可愛い人がいいなぁなどとと思っていた。
しばらくして、誰かが空席の車椅子を引いてきた。やっときたかと見上げると、そこには女性の姿があった。白色のナース服を着ているが、ドレスのようなスカートだ。スカートの下部分は紺色や山吹色の模様があり、上半身のナース服部分はタンクトップのようになっているが、下に紺色のシャツを着ている。頭にはナース特有の帽子をかぶっているが、十字架は書かれておらず、山吹色の模様が書かれている。そして、顔はかなり可愛い。大きな黒色の目に高い鼻、白い肌に首まで伸びた黒髪。この女性もどちらかといえばアジア系に近い顔立ちをしている。というかこの街の人全体がそうだ。アジア系とヨーロッパ系が混ざったような、どちらかといえばではあるが、アジア系の顔立ちが多いような気がする。
「お待たせしました。えっと…確かカセ リンタロウさんですよね。名前の方は聞いてます。」
彼女はそう言った。先程指示された門番が俺の膝下と胴体の下に手を入れ持ち上げ、車椅子に乗せた。
「今から治療室に向かいます。」
夢だとしてもこんなにも好みの女性に話しかけてもらえることを嬉しく思った。
彼女に押されながら、城の中へ入った。城の中には歩行者用と乗り物用に歩く道が分かれており、乗り物用の方は階段ではなく坂になっているようだ。乗り物と言っても車椅子や馬車だけでなく、ただ馬に乗っている人も使っている。
「調査団の方ですか?」
彼女が言った。どうやら事情は聞いていないようだ。
「えっと、いや、違います。」
「えっ!?違うんですか!?私、てっきり調査団の方がタイラントにやられたのかと…。」
「タイラントにやられたのはそうなんですが…。実は俺が目を覚ました時、なぜかアグリオス平原にいてそれで…。」
「そうなんですか…。でもどうやってここまで?」
「調査隊の人に助けてもらったんです。」
「アグリオス平原の調査隊…。第三調査隊の人ですかね…。」
「えっ、調査隊にも種類があるんですか?」
「はい。調査隊はそれぞれ調べるエリアが違っていてアグリオス平原を調べるのは第三調査隊なんです。その調査隊の人を第三調査兵とか言ったりします。あと、全ての調査隊の総称を調査団って言います。」
「調査隊にもいろいろあるのか…。」
「あっ、それと、足が治ったら諸侯に連絡するように言われてるのでもしかしたら大事になるかもしれません…。」
「ショコウ?」
「簡単に言えば、王様の次に偉い人です。あんな危険地帯にあなたのような人が1人でいるなんて異例ですからね。しかも、この国に来てしまったのですから放っておくわけにもいかないでしょうし…。」
まぁ、何か大事になってもなんとかなるだろう。というより、大事になる前に目が覚めればなんの問題もない。
「心配しないで下さい。きっとなんとかなりますから。」
すると彼女が、
「死刑にはされないと良いのですが…。」
と言った。彼女とは会話が進み、楽しかった。調査隊の女とは全然話せなかったし…。この地獄のような数時間が報われた気がした。
「着きました!」
俺は彼女に意識をとられ、全然気づかなかったが、両隣に木製の扉がある。よく見てみると、似たような扉が周りに何個も並んでいる。彼女は左の扉を開けると車椅子を推し、中に入っていった。