私のお願い、届いてますか?
じゅわっと広がるシュワシュワした感覚と、優しい甘さが体全体へと広がっていく。

自覚は無かったけど、エネルギー不足だったんだ…。

まだ目を覚まさない秀人の顔を見ながら、手をそっと重ねる。

早く、声を聞きたいな。
















んっ…

私、寝ちゃってたんだ…。

自分の背中に薄手のタオルケットが掛けてあり、あたりを見渡す。

誰が…?

窓の外を見ると、夕焼けが広がっていた。

もう夕方…。

あっ…手紙?

私が秀人のベットに寄りかかるように伏せて寝ていた辺りに、折りたたまれた紙が置いてあった。

秀人のお母さんからだ…。

〝また夜に来ます〟

じゃあ、これを掛けてくれたのもきっと秀人のお母さんだ…。

「…っ…梨々…香?」

えっ

声が聞こえて、慌てて手紙からベットへと視線を移す。そこには、目を開けて、私の方を見ている秀人がいた。

「秀人…っ…」

「…っ…いってぇ」

動こうとした秀人は、痛みに顔を歪めて腹部を抑えた。

「…っ…動かない方がいいよ。秀人…ごめんね。私をかばったせいで…」

視界が涙でぼやけ、布団の上に、私の涙がこぼれ落ちる。

「…泣くなよ…」

そっと私の頬に秀人の手が伸びてきて、涙を拭った。さっきまで動かなくて不安だった秀人の体が動いていることに安堵の気持ちが湧き上がる。

触れたところに温もりを感じて、頬にある秀人の手をぎゅっと握った。


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