私のお願い、届いてますか?
「数値も上がってきてるし、まずは一安心というところですね。ただ、傷口はまだ塞がっていないので、安静に。明日の午前中に一般病棟へ移りましょう」

先生は、秀人の診察をするとそう言って、聴診器をしまう。

「…ありがとうございました」

「うん、どういたしまして。それで、刑事さんからの事情聴取もあるだろうから、移るのは個室の方がいいと思うけれど、いいでしょうか」

そうか…秀人も話さないといけないもんね。

「…はい。そうしてください」















「結構ニュースになってるの?」

「うん…。会社も今、すごくバタバタしてるみたい…」

「仕事は?」

「今週はお休みもらったの」

「そっか。…梨々香、今日家に帰ったら、ちゃんと寝てよ?」

えっ…

「私は…大丈夫だよ?」

そう伝えると、秀人は困ったような表情をして、私を見た。

悲しげな瞳に、全てを見透かされてる気がして、思わず視線を逸らしてしまった。

「…目の下にクマできてる」

「う、うそ…」

ぎょっとして、慌てて目元を気にする。

「本当だよ」

半ば呆れ気味にそう言った秀人。言い方が秀人らしくて、それさえも少しホッとする。



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