私のお願い、届いてますか?
「…父さんと母さんに会ったんだろ?」

さっき、少しだけベットの傾きを看護師さんが調節してくれたから、秀人は上半身を少し起こした状態で私に確認をする。

頷くと、小さく息を吐いた秀人に、一瞬悪いことをしちゃったかなと不安になった。

「…こんな状態じゃなくて、ちゃんと連れて行って、梨々香のこと紹介したかった」

「えっ…それって…」

そう聞き返したけど、秀人からの返事はない。だけど、ちょっとだけ拗ねてる様子がなんだか嬉しくて、表情が緩んでしまう。

ふと、足音が近づいてくることに気が付き、私と秀人の視線がカーテンへと動く。

「あら…目が覚めたのね」

入ってきたのは、秀人のご両親だった。手には沢山の袋を持っていて、ベット横の椅子へと置いた秀人のお父さん。

「…もう大丈夫なのか?」

「うん。明日には病室移れるって」

「よかったわ…。これ、入院に必要なもの看護師さんに聞いて、買ってきたの。結構な量でしょ?梨々香さん1人じゃ準備が大変かと思って」

そうだったんだ。私、そんな所まで気が回らなかった…。

「ありがとう…。今日は、どうすんの?」

「近くのホテルに泊まり。明日病棟を移るのを見届けたら、向こうに戻るわ。残してきたあの子達も自由にしすぎると心配だから。ふふっ」


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