私のお願い、届いてますか?

side 朝岡倫也

色々なことを見透かされているであろう視線を向けられ、俺は落ち着かない気持ちを押し殺そうと葛藤していた。

「…朝岡さん、ゆっくり寝た方いいですよ」

かけられた言葉が予想外で、俺は思わず河田さんの恋人の相村さんを真っ直ぐと見た。

「…くま、酷すぎです」

「ああ…昨日寝てないからですね」

事件のことを聞いて、慌てて飛行機の便を確認して朝一のチケットをとった。

残った仕事を急いで片付けて、引き継ぎ用資料を作成し、荷造りをしてそのまま朝を迎えた。

飛行機の中でも、何年も会っていなかった恵麻のことを思い出していた。

あの時…もっと話をしてあげれば何かが変わっていたのだろうか。

「…話、聞くだけならできますけど…」

えっ…

真顔でそう言った相村さんの気持ちは正直読み取れない。

けれど、相村さんは俺の返事を待たずに、横にあった椅子を掌で指し示した。

その意図を受け取り、そっと椅子を移動させて、座った。

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