私のお願い、届いてますか?
新幹線に乗って、半日かけて実家へと向かう。

そこそこ栄えてはいるけれど、ちょっと電車に乗れば、すぐに山に囲まれる景色に変わる。住み続けるにはちょうど良い町だと思う。

この辺りでは、一応地主だから、そこそこ庭の広い大きな平家が、俺の実家。

夕陽に照らされる門を入って、少し歩き、玄関の扉を開ける。

「…ただいま」

遠くからバタバタと数人の足音が近づいてくる。

「秀兄おかえり!」

最初にやってきたのは、今年高校生になった妹の頼子。すぐに、高2の弟の優人がアイスをくわえながらやってきた。

「兄ちゃん、何年ぶり?ちょっと老けた?」

俺とは対照的な性格の優人は、冗談混じりにそういうと、ちょっと照れくさそうに笑った。

「もう!メールしても全然返信ないんだから」

そう言いながらも、まあまあ嬉しそうにしている母さんを見て、ちょっとホッとした。

頼子に東京駅で買ったお土産を渡して、リビングに行くと、父さんがコーヒーを飲んで趣味の園芸の雑誌に目を通していた。

「…ただいま」

「帰ったか…」

それだけ言って、すぐに視線を雑誌に戻した父さん。多分、俺と父さんの性格は結構似てるんだと思う。




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