私のお願い、届いてますか?
第3章 心の距離
ゲートを抜けて、幅の広い通路を歩く。左右を確認して、秀人との待ち合わせ場所となっている柱に向かう。
あっ
人混みの隙間から、柱に寄りかかって本を読んでいる秀人の姿を見つけて、歩みが速くなる。
すぐ近くまで差し掛かると、私に気づいて、本をカバンにしまい、少しだけ手を挙げた秀人に、胸がドクンッと鼓動した。
「久しぶりだね!」
「…うん」
嬉しくて、いつもより近い距離でそう言うと、秀人はちょっとぎこちなく返事をする。
…勢いありすぎた…かな。
秀人の腕にしがみつきたいって思ったけど、ぎこちなさが気になって、躊躇する。
「…緊張してるだけだから…」
えっ…?
秀人の言葉に、顔を上げると、すっと私の手を秀人が握った。
思いがけない行動に、私の顔が一気に熱を帯びる。
「…嫌だったら振り払っていいから…」
「嫌なわけないよ。嬉しすぎる…」
正直な気持ちだった。嬉しくて、涙が溢れてくる。
少しだけ溢れた涙を指で拭うと、秀人は驚いた表情で、私を見た後、優しく微笑んだ。
秀人が、優しい…。
「…実家でゆっくり休めた?」
「うん。…梨々香の存在も伝えた」
「えっ?」
「…初めて言った」
まさか、私の話題に触れるような会話になったなんて思ってもいなかったから、驚きで秀人の顔を覗き込む。
あっ
人混みの隙間から、柱に寄りかかって本を読んでいる秀人の姿を見つけて、歩みが速くなる。
すぐ近くまで差し掛かると、私に気づいて、本をカバンにしまい、少しだけ手を挙げた秀人に、胸がドクンッと鼓動した。
「久しぶりだね!」
「…うん」
嬉しくて、いつもより近い距離でそう言うと、秀人はちょっとぎこちなく返事をする。
…勢いありすぎた…かな。
秀人の腕にしがみつきたいって思ったけど、ぎこちなさが気になって、躊躇する。
「…緊張してるだけだから…」
えっ…?
秀人の言葉に、顔を上げると、すっと私の手を秀人が握った。
思いがけない行動に、私の顔が一気に熱を帯びる。
「…嫌だったら振り払っていいから…」
「嫌なわけないよ。嬉しすぎる…」
正直な気持ちだった。嬉しくて、涙が溢れてくる。
少しだけ溢れた涙を指で拭うと、秀人は驚いた表情で、私を見た後、優しく微笑んだ。
秀人が、優しい…。
「…実家でゆっくり休めた?」
「うん。…梨々香の存在も伝えた」
「えっ?」
「…初めて言った」
まさか、私の話題に触れるような会話になったなんて思ってもいなかったから、驚きで秀人の顔を覗き込む。