私のお願い、届いてますか?
第4章 我慢比べ
「河田さん、この資料、今日の打ち合わせで使うから、コピーお願いできる?」

「はい!」

先輩に頼まれて、早速コピー機を使って、人数分の冊子を準備する。

あっ…

ちょうどコピー機のすぐ横の壁に貼ってあるポスターが目に入った。

そっか、もうすぐ七夕。

ポスターは、この辺りでは有名な七夕まつりの開催を知らせるもので、去年の露店の様子や、夜空に打ち上げられる花火の写真が大きく載っている。

去年、すれ違いばっかりで、約束すらできなかった。

今年は…どうだろう。でも、また忙しくなってきてるみたいだし、それに平日だし、無理なのかな…。

休憩時間にメッセージ入れておこうかな。










〝ごめん。その日は無理だと思う〟

返信が返ってきたのは、私が家に着いて寝ようとしていた時間帯。

そうだよね。

分かってた。だから…大丈夫。

ちょっと胸がチクッとしたけど、その分秀人が頑張ってるって思えたから。

それに、来月は引っ越しがあって、確実にその日は一緒に過ごせるって決まってるから。

〝友達と行ってきていいよ〟

文の続きには、そう書いてあった。

久しぶりに、大学の時の友達に連絡してみようかな。




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