私のお願い、届いてますか?
「このこと、梨々香ちゃん知ってるのかしら」

ふと、結衣子さんがつぶやいた。

そうだ、河田さんのことも心配だ。周囲に変な誤解をされていないといいけど…。

スマホに手を伸ばし、河田さんに電話をかける。

でも、すぐに留守電に切り替わり、俺は電話を切ってメールに切り替えた。

「…出なかったんですか?」

心配そうに礼人が聞いてきて、俺は頷きながらメールを送信した。

「…梨々香ちゃん、そういう対応下手そうだから、心配…」

結衣子さんの言葉で、俺の中の不安が大きくなっていく。

いや、俺の不安なんて今はどうでもいい。まず、河田さんの状況を早く把握してあげたい。

そう思っていると、オフィスの電話が鳴り響いた。

「朝岡さん、本社の部長からです」

きっと週刊誌のことだろう。

ふーっと息を吐いて、気持ちを切り替えてから電話に出た。











「朝岡さん、大丈夫でした?」

電話を切ると、結衣子さんが心配そうに尋ねた。礼人もソワソワしている。

「大丈夫。河田さんのことは部長も知ってるから、誤解だって伝えたよ。これから上にあげて、出版社に訂正するように話すって言ってくれた」

だけど、世の中に出回ってしまった以上、世間の誤解を全て取り払うのは不可能だと思う。

…こんなことになるとは…。








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