私のお願い、届いてますか?
ガチャッ

「貴方達、噂話にしては声大きいわよ」

えっ…

この声って…玲子先輩?

隣の席の、さっきも冗談言ってくれて助けてくれてた先輩。

「れ、玲子さん…」

「あんな、ガセネタで踊らされてる貴方達、時間が勿体無いわよ?」

「えっ?」

「噂話してると…ふふっ…モテ運逃すわよ」

「えーっ、それ、困りますー!」

「今日、合コンなんですよ?」

「あら、じゃあそんな噂話してないで、仕事さっさと終わらせて定時で上がらないと!ほら、出た出た。私は今からお化粧直すんだから」

「はーい」

パタパタと足音が聞こえて、更衣室の中が静まり返る。

ロッカーの扉を開ける音が聞こえたのと同時に、

「河田さん、いるんでしょ?」

と、優しい声が聞こえた。

その声に、喉につっかえていたものが消えていき、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「…っ…先輩…」

ゆっくりと歩いて、先輩の前に姿を表す。

「もう…戻ってこないと思って心配したのよ?」

「…っ…ありがとう…ございますっ…」


< 74 / 137 >

この作品をシェア

pagetop