私のお願い、届いてますか?
「…そのうち、噂も落ち着くわよ」

そう言いながら、私の背中をさすってくれる先輩の手のひらの温もりが、ズキズキ痛む胸にしみる。

「…河田さん、可愛いから、余計嫉妬されやすいのよ」

「…私…可愛くないです…」

周りの女性社員の方がおしゃれでキラキラ輝いてる。私はお化粧でどうにかみんなから浮かないように背伸びしてる感じ…。

「もう…。彼氏さんには?今回のこと伝えたの?」

玲子先輩の言葉に首を横に振る。

「…ちゃんと河田さんの口から伝えた方がいいと思うわ」

そう言って、ポンっと背中を叩くと、私にティッシュを差し出してくれた先輩。

「はい…」

受け取って、涙を拭き取りながら、私は返事をした。

そうだよね…。伝えた方がいいよね…。














メールや電話ではうまく伝えられない気がして、結局秀人の帰宅時間を教えてもらって、今家で待っているところ。

時計を見ると夜の10時を過ぎていた。あとちょっとで帰ってくると思うから…ご飯温め直しておこう…。

キッチンに立って、お皿に盛り付けてラップをかけて置いた野菜炒めを電子レンジで温め、中華スープを火にかけた。

ガチャッ

玄関の扉が開く音がして、胸がどくんと跳ねる。

うまく話せるかな。連絡した時は、週刊誌のこと知らなかったみたいだけど…。

「…ただいま」

「お、おかえりなさい」

リビングの扉が開いて、秀人の姿が見えると、私の緊張感が増した。

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