私のお願い、届いてますか?
ううん、怖くて、電話かけたのは私だけど…。また、迷惑かけちゃったな…。

自分の行動全てが、周りの人に迷惑をかけているような気がしてきて、自己嫌悪に陥っていく。

よくよく考えたら、昔からいろいろな人に迷惑をかけてきたと思う…。結構無茶なこともしてきた。

田舎だから、みんなが顔見知りだったから、どうにかなってただけなのかも、とさえ思えてくる。

都会に憧れて、親の反対押し切って、こっちで就職して、なんとか今までやってこれてたけど…。

「…梨々香」

あっ…

「秀人…」

はっとして、顔を上げると、汗だくの秀人が隣に立っていた。

「…大丈夫?」

「う、うん。…ちょっと待ってて」

きっと自転車飛ばしてきてくれたんだ…。

コンビニでスポーツドリンクと汗拭きシートを買って、コンビニを出てから秀人に手渡す。

「…急いで来てくれたの?」

「うん…。梨々香に何かあってからじゃ遅いだろ?」

スポーツドリンクの蓋を開けてごくっと飲んだ秀人は、額から垂れた汗を、シートで拭き取った。

「…いつも…ごめんね」

「…なんで謝るの?」

拭き終わったシートをゴミ箱に捨てると、不思議そうに私を見る秀人。

「…ここ最近、迷惑かけてばっかりだから…」

正直に気持ちを打ち明けると、秀人は、小さく息を吐いた。

「…どうしたら…俺の気持ち伝わる?」

えっ…

「俺、付き合ってから一度も、梨々香のこと迷惑だって思ったことないんだけど」






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