麗しの薔薇
始まりの赤
──午前12時。
普通の人なら家にいる時間。
でも、私は"普通"じゃない。
高いヒールに体の線が出るドレス。
腰までつく長い髪を高い位置で1つにまとめ、
しまいに赤い口紅をぬれば
"もう1人の私"の完成。
表通りには酔い潰れたサラリーマン、居酒屋を転々とするおじさん。
そこそこに人が多く賑わっている。
でも、私の目的地は別。
表通りから一本、二本…路地裏へと足を運び
消えかけた街灯を二本見過ごした先。
まるで人気のない路地裏にソレはある。
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