麗しの薔薇
始まりの赤



──午前12時。


普通の人なら家にいる時間。


でも、私は"普通"じゃない。


高いヒールに体の線が出るドレス。


腰までつく長い髪を高い位置で1つにまとめ、


しまいに赤い口紅をぬれば


"もう1人の私"の完成。


表通りには酔い潰れたサラリーマン、居酒屋を転々とするおじさん。


そこそこに人が多く賑わっている。


でも、私の目的地は別。


表通りから一本、二本…路地裏へと足を運び


消えかけた街灯を二本見過ごした先。


まるで人気のない路地裏にソレはある。



< 1 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop