麗しの薔薇
お気に入りのカクテルを手に、ぼーっと周りの会話に耳を澄ます。
───…なぁ、ヤツら動き出したらしいぜ。
───…まじ!?油断も隙もねぇ〜…俺たちもそろそろ危ういかもな。
ふうん、"ヤツ"ねぇ。
まず耳に入ってきた会話を理解し、情報に変えた。
そうしていたら、
「お!レッド居るやん!元気してたかぁ〜!」
見知った声が聞こえて振り返る。
───そう、ここでは"レッド"が私の名前。
もう1人の私。
お店の名前に因んで色の名前を選び名乗ることにした。
私の特徴である赤い口紅の意味も込めて。