麗しの薔薇
「瞬さん。お久しぶりです。」
声を掛けてきたのは、ここのバーの知り合い。
こことはもう長い付き合いになるから、こういった知り合いができたり、初めましての人に声をかけられることもよくあること。
それが私の狙い、でもある。
「いやぁ、レッドはいつ見ても綺麗だなぁ。
暫く見ない内にまた綺麗になったんじゃないか〜?」
そうケラケラと笑う瞬さんは、入り浸り始めた頃から私によく声をかけてくれて、毎回私のことを褒めてくれる。
「ふふ。またそんなお世辞言って。褒めたって
何も出ませんよ?」
グラスを片手に細い目で瞬さんを見つめる。
「なぁに、女性は褒めてなんぼだ。そのまんまのことを伝えたまでよ。あ、マスターいつもの〜」
少し大人ぶって挑発したつもりなんだけど…
いつも大人の余裕でかわされる。
本当、瞬さんは侮れないなぁ。