麗しの薔薇
「あ、そーいや最近"ヤツ"が彷徨ってるらしいから、綺麗な嬢ちゃんは襲われないよう気をつけること!」
あぁ…さっきの会話の。
瞬さんの口からも出るとなると、信憑性が高まる。
──"ヤツ"というのは、ここら一帯を縄張りのように支配しようとしている"朱雷"のことだろう。
噂によると、縄張り内…つまりこの辺りをうろつく輩に、男女構わず暴行したり薬物の取り引きを持ちかけてきたりするらしい。
ただの族ならまだしも…─あぁ、朱雷はかなりな実力を持つ暴走族のこと。
しかも、そのバックには何らかの組がついているようで逆らうと面倒なことになるらしい。
まぁ、あくまでも噂なのと近頃警察に捕まったとか何だとか言われていたけど。
「ご心配ありがとうございます。ですけど、そんなにヤワな女ではないので、そこは大丈夫だと思いますよ。」
確かに、私は見た目とか背伸びしている部分はあるが、年齢以上の強さは長年鍛えてきた。
この辺りを彷徨く族の2人や3人には負けない自信はある。