麗しの薔薇
私が瞬さんの言葉を跳ね除けるようにそう言うと
「そうだな…でも、女の子には変わりないんだ。そこは忘れるなよ。」
そう、瞬さんは時折見せる父親のような優しい笑みを浮かべ、私の頭をポンっとした。
…こういう時、私は凄く切ない気持ちになる。
それからも、お互い気の向くまま談笑していると、
「あの……すみません。
あなたがレッド、ですか…?」
見知らぬ男性に声を掛けられ、私はゆっくりと振り返る。
すると、こんな裏バーには似合わない、少しよれているスーツに細い眼鏡を掛けたサラリーマンの姿が見えた。
……変装?
あぁ、いや普通に見ればサラリーマンなんだけど…
普通じゃない人が集まるこんな場所にいるとなると、怪しむのはここの常識だろう。