偏差値高めで恋愛未経験の私が隣の席の男の子に溺愛されるお話〜春編 Spring 〜

体育祭 〜Athletic festival 〜

中間考査が返されて1週間後、5月の下旬。


青葉繁れる好季節とはよく言ったもので、木々の葉っぱが見事なみずみずしい緑色に色づく。


それなのに…


「何でこんなに暑いんだ?まだ5月だろ!こんなんじゃ明日の体育祭、熱中症になるぞ!」


そう、実琉くんが言う通り、今日は


暑い。


蒸し暑い。


蒸し風呂かっていうくらい暑い。


今日は明日の体育祭に向けての準備の日。


朝のショートホームルームでそれぞれの役割決めをして、今はそれぞれがそれぞれの仕事に打ち込んでいる。


そんな中、私たちは体育祭のしおり10000枚をステープラーでまとめるという作業をしている。


何でこれにしたかというと、皆んなに人気がなかったから。


あまり、他の人とごちゃごちゃやるのが好きではないのでそれを選んだら、碧依くんと翔央ちゃん、実琉くんまでついてきた。


級長が『まぁ、4人ならギリギリいいでしょう。』と言ってくれたお陰で私たちは今、皆んなで作業しているのだが…


私たちは今、教室にいない。普段、皆んなが先生にお願いして自習に使っている、高校校舎の空き教室にいる。


ここの教室は自習をしたり、イベントの準備をしたり、色々な用途に使っているそう。


そもそも何故、こんなところにいるのかというと…


『看板や小道具の製作で教室は埋まってしまうので、君たちは別のところで作業してな。』


と担任の先生が言ったから。


そこで案内されたのがこの教室。1クラス分の広さがあるので、スペースは有り余っているのだが、何せ暑い。そんな中、1時間作業し続けて、


今に至る。


「そうだね、ちょっと休憩する?」


「しよしよ〜!楓織は優しいね~!」


「俺だけに優しくすればいいのに。」


「ん?碧依くん、なんか言った?」


「いや、何でもない。」


碧依くんの声、小さくて聞き取れなかったな。ま、いっか。


「そもそもここ、クーラーないの〜?」


「探したけど無かったよ、ひーちゃん。」


「うぇ、マジ?」


「うん、大マジ。」


こんな暑い中、クーラーも点けずにずっと作業するのは流石に危ない。


熱中症の危険がある。


「皆んな、何か飲み物買ってこようか?」


「あ〜、楓織が神様に見える…」


「そんな、翔央ちゃん大袈裟だよ。」


「ついに、暑さで桧山の頭がやられただけなんじゃねーの?」


「酷っ、流石楓織以外には冷徹で有名なだけあるね。」


「別にそんなんじゃねーし。」


えっと、またよくわからないけど、碧依くんは全然冷徹じゃ無いのにな。その真逆なんだけどな。


皆んなにもっと碧依くんの良さを知ってもらいたいな。


「えっと、飲み物は何がいい?」


「あーそうだ、忘れてた。私は午後ティー。」


「俺はカフェオレ。」


「俺は着いて行くからその時に決める。」


「ん、なら、翔央ちゃんが午後ティーで実琉くんがカフェオレ。碧依くんはその場で決める、ね。」


「あってるよ〜。行ってらっしゃ〜い!」


「行ってきま〜す!」


こうして私たちは、飲み物を買いに行った。




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