偏差値高めで恋愛未経験の私が隣の席の男の子に溺愛されるお話〜春編 Spring 〜
「あ、碧依くん!ごめんね、私傘忘れちゃったから碧依くんの傘に入れてもらってもいーい?」
「え、あ、うん。どうぞ、入ってください?」
「なんで最後疑問形なの?」
「え、あ、いや、ちょっと急に言われたからびっくりしたというかなんというか、嬉しいというか...」
最後のほうは声が小さくて聞こえなかったけど、とりあえず、
しゃああああ!!!私は心の中でガッツポーズをした。
これで濡れて帰らなくてすむ!
いつもの帰り道。ちょっと違うのは1つの傘に2人で入っていること。
この距離感、私が好きな感じだ。
雨の日って気温が思うように上がらない時が多いから、人肌恋しくなっちゃうんだよね。
いつもより距離が近いから、碧依くんのぬくもりを感じられる。
碧依くん...いいにおいするなぁ。
はっ!なんということを考えているの、私!!
これじゃまるで...まるで...私が、ヘ、変態みたいじゃない!!
うー、碧依くんは私の思考が読めないとしても普通に恥ずかしい...
私が顔を赤くしてうつむいていると、
「楓織、大丈夫?顔赤いけど、熱ある?体調悪かったりする?」
「あ、全然そんなのじゃないから大丈夫!ごめんね、ちょっと考え事してただけで...」
「本当に?ならいいんだけど、もし体調が悪いんだったら遠慮せずに言って?」
「うん!ありがとう!」
ふ~、危ない危ない。体調悪いと勘違いされちゃった。
でも、なんだか変なの。
すごく胸がドキドキするっていうか。
軽めの動悸かなぁ。
家に帰ったらしっかり休もう。
それから私はいつもより距離が近い碧依くんの温度を感じながら、帰宅した。