偏差値高めで恋愛未経験の私が隣の席の男の子に溺愛されるお話〜春編 Spring 〜
「あ、お帰りなさい。どうだった?」


開口一番の『お帰りなさい』は駄目だって。キュン死にするから。


「えーと、先生は見ない事が望ましいけど、時間的に厳しいと思うから見ても大丈夫だって仰ってました。」


「そっか、ありがとう。あ、あと一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


「はい、なんでしょう?」


何か気になることでもあるのだろうか。


「え、えっと、あの、その、あ、貴方は、なんで私たちが選ばれたのか、わ、わかり、ますか?」


あー、そのことか。


「多分ですけど、俺はここの入試を2位通過した者なんですけど、貴女は多分1位通過してますよね?それでだと思います。」


「あー、なるほどです!確かに私は1位通過しましたよ〜。それでなんですね!納得です!」


あー、やっぱり1位通過か。それよりも、『なるほどです!』は可愛くね?『なるほど』に『です!』つけるとか反則な。
というか、1位通過なら聞きたいことがあるな。


「あのー、俺からも1つ聞いていいですか?」


「いいよ。なあに?」


「1位通過って何点で通ったんですか?」


「あ〜、えっとね、確かね、満点だったはず。4教科で受験したから、国数でそれぞれ100点、理社は80点満点だから、合計点数は360点満点だったかな〜。」


うわ、ガチめの天才じゃん。


「2位通過の貴方は何点だったんですか?嫌味っぽく聞こえてしまいますが、気になるのです。」


普段、こんなこと言われたら絶対腹が立つのに、今回は腹が立つどころか、そんなところさえも愛らしく思えてしまう。俺結構重症だな、これ。


「俺は、国語と社会で2点落として、算数と理科は満点だったので、合計点数は356点でした。」


「そっか、凄いね。あ、でも私の方が点数上なのにそれはおかしいか。こういう時ってどういう風に言ったら、嫌味っぽく聞こえないのでしょう?」


こういう時に苦労したことが今までに沢山ある人の言い方だな。俺もその経験は山ほどあるから、気持ちはわかる。


「わかりますよ、その気持ち。すごく苦労しますよね。相手に嫌われないためにどういう風に声をかけたら、穏便に済ませられるのか、俺もよく悩みます。」


「ふふ、同じだね。じゃあ、お互い入学式頑張ろう!」


「そうですね。」


そう言って、お互い台本を覚えるのに時間を使った。


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