君が月に帰るまで
「きみ、もしかして……いや、まさか……」
女の子は慌てた様子だったが、大きく息を吸って、布団の上で座り直すと、タオルケットをまとったまま、三つ指ついて頭を下げた。
「お初にお目にかかります。月の宮殿より参りました、月夜美谷之命でごさいます。2週間こちらで過ごさせていただぎますゆえ、よろしくお願い申し上げます」
はじめは理解ができず「はぁ」と呆けた返事しか出きなかった。
その様子を見て、月夜は首をかしげた。
「まだ、説明を受けていないの?」
「せっ……説明って??」
ため息をつくと、姫はぽんぽんと2度手を叩いた。丸窓からすうっと何かがはいってきて、半透明のスーツ姿の男性が現れた。
「朔、なによそのカッコ」
「いろいろありまして、このような姿に。遅れてすみません」
「まあいいわ。説明、まだなのよね? お願いします」
朔と呼ばれたその男性は、呆気に取られているはじめに向かって深くお辞儀をした。はじめもそれにこたえて会釈をする。「はじめまして、月の宮殿より参りました。家来の朔と申します。こちらは、月の大王の次女、月夜美谷之命さまにございます。このたび姫さまは、地球見物へとやってまいりました。2週間こちらでお世話をしていただきますよう、お願い申し上げます」
「2週間? 彼女を……?」
「はい、さすれば願いをひとつ、叶えてさしあげます」
「えっ……」
はじめはあまりのことに目を見張った。
「願いって……なんでも?」
「はい、何でもです」
「志望校に合格したい……とかでも?」
「はい。もちろん」
何ということだろう。2週間姫を家におくだけで、願いを叶えるというのか。あまりの幸運と、猜疑心の狭間で心が揺れ動く。
女の子は慌てた様子だったが、大きく息を吸って、布団の上で座り直すと、タオルケットをまとったまま、三つ指ついて頭を下げた。
「お初にお目にかかります。月の宮殿より参りました、月夜美谷之命でごさいます。2週間こちらで過ごさせていただぎますゆえ、よろしくお願い申し上げます」
はじめは理解ができず「はぁ」と呆けた返事しか出きなかった。
その様子を見て、月夜は首をかしげた。
「まだ、説明を受けていないの?」
「せっ……説明って??」
ため息をつくと、姫はぽんぽんと2度手を叩いた。丸窓からすうっと何かがはいってきて、半透明のスーツ姿の男性が現れた。
「朔、なによそのカッコ」
「いろいろありまして、このような姿に。遅れてすみません」
「まあいいわ。説明、まだなのよね? お願いします」
朔と呼ばれたその男性は、呆気に取られているはじめに向かって深くお辞儀をした。はじめもそれにこたえて会釈をする。「はじめまして、月の宮殿より参りました。家来の朔と申します。こちらは、月の大王の次女、月夜美谷之命さまにございます。このたび姫さまは、地球見物へとやってまいりました。2週間こちらでお世話をしていただきますよう、お願い申し上げます」
「2週間? 彼女を……?」
「はい、さすれば願いをひとつ、叶えてさしあげます」
「えっ……」
はじめはあまりのことに目を見張った。
「願いって……なんでも?」
「はい、何でもです」
「志望校に合格したい……とかでも?」
「はい。もちろん」
何ということだろう。2週間姫を家におくだけで、願いを叶えるというのか。あまりの幸運と、猜疑心の狭間で心が揺れ動く。