君が月に帰るまで
「いいよ、動画生配信しよっか」
そう言うが早いか、スマホを取り出すともう配信を始めたようだ。
「高校生以下のみんなは、きょう17時にA駅公園の広場に集合!! 長縄大会があるよー! 参加賞、いま急ピッチで袋詰めしてるから、ぜひきてねー!! 参加する人はイイね押してねー」
零たちもイェーイ!! と盛り上げ役を買って出る。イイねは180くらいついたようで、雪の友だちもいれると足らない可能性が出てきた。結局300セット購入し、ぎゅうぎゅうにタクシーに詰め込んで、A駅公園へ出発した。時刻は15:48
***
「あ、詩穂さんちょっとこれ、手伝ってもらえます……か……ええっ? ゆめちゃん、その髪っ……どうしたの??」
腰まであろうかというロングヘアを、バッサリショートボブにしたゆめを見て、かえでは絶句した。
「これなら、一緒にいけるでしょ? お願い私も公園に連れてって」
お願いしますと、かえでに頭を下げるゆめ。
「でも、はじめくんに聞いてみないと……」
ガチャ──
ちょうどよくはじめがリビングへ入ってくる。よっこらしょっと大きな机を抱えてきた。
3本足の机の下の正面には三角になるように鏡面シート付きの板が貼ってある。
机の下にスペースがあるのだが、広いところにおけば、鏡の反射でそれが消えたように見える仕組み。
「はじめくん、なにそれ?」
「面白そうだね」
「はじめ、何するの?」
かえで、詩穂、ゆめが口々に言う。
「ちょっとマジックショーを最後にや……ろうか……と……ってゆめ?? 髪の毛!! どうしたの?」
「詩穂さんにきってもらったの。これなら気がつかれないでしょう? だからお願い、私も公園に連れてって」
「ゆめ……。わかった。ちょっと冒険だけど、マジックショーにゆめも出てもらうつもりだから」
「マジックショー??」
女性3人の声が合わさる。はじめはコクンとうなづくいた。