君が月に帰るまで
50人ほどの生徒が入る教室。上位40位まで成績順、ビリがわからないようワースト10位は自由席。
もちろん自由席のはじめは、いつも後ろの方で縮こまって授業を受けていた。
「どうしたの? 人見知り?」
まだプイッとして窓の外を見ているゆめにはじめは声をかけた。
「別に。なんでもない」
へんなの。はじめは小さく息をつく。授業が始まって、教室が静かになりペンが走る音だけが聞こえてくる。
日本史の授業。ゆめはどうだろう。
──っ!!
なんだ、この高揚感に満ち溢れた顔は。
体が流星の放射点にでもなったように、美しく輝いた光の粒が、ゆめをとりまく。
喉から手が出るほど知りたかったことを、知った喜び。もっと、もっと知りたいという前のめりの姿勢。黒板に注がれる熱い視線が、はじめの目を釘付けにする。
学ぶことに対して、これほどまでに真摯であったことが自分にあっただろうか。
いつからだろう、勉強に対して興味がなくなったのは。やらなくてもわかった小中学生。適当に勉強してもそこそこの順位にはいた。
高校生になって、そのツケが回ってきた。都内有数の進学校、なんとかそこへ入学したものの、泣かずの飛ばずの下の方の順位。
もちろん自由席のはじめは、いつも後ろの方で縮こまって授業を受けていた。
「どうしたの? 人見知り?」
まだプイッとして窓の外を見ているゆめにはじめは声をかけた。
「別に。なんでもない」
へんなの。はじめは小さく息をつく。授業が始まって、教室が静かになりペンが走る音だけが聞こえてくる。
日本史の授業。ゆめはどうだろう。
──っ!!
なんだ、この高揚感に満ち溢れた顔は。
体が流星の放射点にでもなったように、美しく輝いた光の粒が、ゆめをとりまく。
喉から手が出るほど知りたかったことを、知った喜び。もっと、もっと知りたいという前のめりの姿勢。黒板に注がれる熱い視線が、はじめの目を釘付けにする。
学ぶことに対して、これほどまでに真摯であったことが自分にあっただろうか。
いつからだろう、勉強に対して興味がなくなったのは。やらなくてもわかった小中学生。適当に勉強してもそこそこの順位にはいた。
高校生になって、そのツケが回ってきた。都内有数の進学校、なんとかそこへ入学したものの、泣かずの飛ばずの下の方の順位。