君が月に帰るまで
「あ、これお前の家の? いま隣の公園通ったらちびっこに追っかけられてて。泥の中に突っ込んで、ついでに足ケガしたみたいだから拾ってきた」
夏樹はちょうど良かったと言わんばかりに、はじめにタオルごとゆめを渡す。ゆめの足にはすり傷があり、少し血が出ていた。
「あっ、ありがとう。すぐ帰って洗わなきゃ……手当もしないと……このままこのタオル借りていい?」
夏樹は無言でコクンとうなづいた。
「はじめくん、私何かお手伝いできることある?」
かえでがすっと前に出て申し出る。
「あっえっと、僕のリュック持ってきてくれる? 肩からかけてくれたら嬉しい」
かえではサッとはじめのリュックを持ってきた。
「行きましょ」
「ええっ!? 行くってどこへ?」
「いいから早く!!」
あまりの剣幕に驚いて、かえでのうしろをついていくのがやっとだった。
「かえで! どこ行くの?」
かえでは、はじめの家とは逆方向に向かって歩いて行く。駅のすぐ隣にある動物病院。その病院の正面玄関にかえでは向かった。
午前中の診察終了の札がかかっているが
、かえでは臆することなく、ドアを開ける。
「ただいま、シャワーかりるね」
受付の人にそう言いながらずんずんと病院の奥へ進む。トリミング施設も併設した部屋のシャワー台へと向かう。
「早く、洗ってあげて。シャンプーこれ。お父さん呼んでくる」
かえではシャワーをザーッと出して温度を確かめると、手をパッパッと振ってハンカチで拭きながら行ってしまった。
はじめは、あまりのことに唖然としているが、腕の中で震えたウサギがいることを思い出し、あわててシャワー台に下ろした。
「ごめんね、ゆめ……いま洗ってあげるから」
シャンプーを泡立てて、そっと体を洗う。すごく冷たい。いったいなにがあったの? きょうの月の出は22時13分。それまで話が聞けないのか……もどかしい。
夏樹はちょうど良かったと言わんばかりに、はじめにタオルごとゆめを渡す。ゆめの足にはすり傷があり、少し血が出ていた。
「あっ、ありがとう。すぐ帰って洗わなきゃ……手当もしないと……このままこのタオル借りていい?」
夏樹は無言でコクンとうなづいた。
「はじめくん、私何かお手伝いできることある?」
かえでがすっと前に出て申し出る。
「あっえっと、僕のリュック持ってきてくれる? 肩からかけてくれたら嬉しい」
かえではサッとはじめのリュックを持ってきた。
「行きましょ」
「ええっ!? 行くってどこへ?」
「いいから早く!!」
あまりの剣幕に驚いて、かえでのうしろをついていくのがやっとだった。
「かえで! どこ行くの?」
かえでは、はじめの家とは逆方向に向かって歩いて行く。駅のすぐ隣にある動物病院。その病院の正面玄関にかえでは向かった。
午前中の診察終了の札がかかっているが
、かえでは臆することなく、ドアを開ける。
「ただいま、シャワーかりるね」
受付の人にそう言いながらずんずんと病院の奥へ進む。トリミング施設も併設した部屋のシャワー台へと向かう。
「早く、洗ってあげて。シャンプーこれ。お父さん呼んでくる」
かえではシャワーをザーッと出して温度を確かめると、手をパッパッと振ってハンカチで拭きながら行ってしまった。
はじめは、あまりのことに唖然としているが、腕の中で震えたウサギがいることを思い出し、あわててシャワー台に下ろした。
「ごめんね、ゆめ……いま洗ってあげるから」
シャンプーを泡立てて、そっと体を洗う。すごく冷たい。いったいなにがあったの? きょうの月の出は22時13分。それまで話が聞けないのか……もどかしい。