君が月に帰るまで
7.嫉妬
地球見学3日目

昨日あまり眠れなかった。はじめは眠たい目をこすりながらリビングへ降りてきた。塾は休みなので焦る必要はない。

「ぼっちゃま、おはようございます」

いつもの向田の優しい声がして、顔をそちらに向ける。

「おはよう向田さん。いつもありがとうございます」

「朝ごはん、お召し上がりになりますか? 塾はお休みでしょう?」

はじめの起きてきた時間から推測したのだろう。向田は無理やり起こすことはしない。遅刻してもあらあらなんて言ってにこにこ笑っている。

ある意味すべては自己責任。そう言われているような気がして、自分のスケジュール管理は失敗を繰り返しつつもきちんとできるようになった。これは向田のおかげだ。

「はい、いただきます」

「お嬢さまは、まだ寝ていらっしゃるのかしら」

心配そうに言うので、見てきましょうかと声をかけて、祖父の部屋へ向かう。
離れに続くドアを開けようとすると、スカイブルーの爽やかなワンピースに身を包んだゆめがちょうど出てきたところだった。
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