君が月に帰るまで
「──っ!!!!!」

えええっ!? だっ……だれ!? ウサギはどこ??

「あわわわわっ……」

痴女か? 不審者か? あわててスマホで警察に連絡しようとしても手が震えてタップができない。

慌てている間に、女の子が目を覚ました。

「んんっ……。もう朝?」
「ちょっと!! 待って待って!!」

はじめは慌ててタオルケットを女の子に被せる。なんとか上下の大事なところを隠してもらって、はじめはたたみ一畳分、布団から離れた。

「きみ……だれ?」

あまりの恐ろしさに女の子をきっと睨みつける。
白いタオルケットに負けないくらい透き通った白肌。腰までありそうな艶やかな黒髪。くりっとした目が潤んで、こぼれ落ちそうなほど。

かっ……かわいい。
あまりのことに喉に何か詰めたように、言葉が出てこなくなった。

「ここは……地球?」
「へっ? あぁ地球だよ」

まだ起きたばかりで頭がぼうっとするのだろうか。女の子の気怠そうな目がすうっとはじめに向く。その途端、大きな目をさらにカッと見開いたかと思うと、ぼんっと顔が赤くなる。

「あっ、あの……えっと……」

うろたえる女の子のタオルケットが少しずれる。首には翡翠の勾玉首飾り……、翡翠の勾玉の首飾り!?

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