if…運命の恋 番外編Ⅱ『運命の出会い』
『こんな風になった擦り傷は、こうやって清潔な洗浄水でばい菌を洗い流すのが一番なんですよ。そうしないとばい菌が入って大変な事になる。たとえば破傷風とか敗血症とか命にも関わる。だから、あとで破傷風のワクチンは打たないと』
もう限界だった。
彼の説明は、聞こえるけど理解は出来ない。
彼の声はとっても低くて優しくて、男らしいのは理解出来た。だけど、私の目の前が真っ暗になった。
私が、その場で意識を無くしたというのは、その夜に目が覚めて知った事だった。
”ここはどこ? 私、何してたっけ?”
あッそうだ。私、朝、新幹線で福岡まで来たんだった。それで、、
自分の置かれている状態を、なんとなく理解して、そのまま周りを見渡す。
そこは、通された診察室ではなくて、リビングのソファの上だった。
ソファなのに、枕まで私の頭の下にはあって、身体の上にはブランケットがかかってあった。
「・・・!!!!」
『やっと意識が戻ったね、大丈夫ですか?』
彼が足元の方にいた。私と目が合うと声をかけて来た。
「はい、私ったらとんでもないご迷惑をおかけして、、」
『いや、気にしないで。僕が麻酔もしないで洗浄したもんだから、あまりの痛みでショック起こしたんじゃないかな』
「いいえ、ごめんなさい。すぐに帰りますから、、あッ」
私は慌ててソファから起き上がろうとして、立ち上がったと同時に眩暈に襲われた。その場に崩れるように座り込んだしまう。
『あっ大丈夫? 気分悪い?』
「すみません、眩暈しちゃって・・」
『顔色がまっ青だ。もう少し、横になってて』
そう彼は言うと、私の身体をソファに横たえさせてくれた。私は気分は悪いのは勿論だけど、とっても恥ずかしくて顔を隠してしまう。もう、泣きたい。