if…運命の恋 番外編Ⅱ『運命の出会い』

つい、ムキになってそう大声で返してしまった。彼は軽い驚きに見開かれていた目が意地悪っぽく笑う。

『俺は君をお飾りだって言ってないぞ。あの女が言っただけだ』
「でも、、否定もしなかったじゃないですか」

私がそう言うと、彼は椅子から立ち上がって私の横の椅子に座り直す。、、って何でこっちに来るの!?
自分の身体を私の方向に向けて、じっくりと聞こうとする姿勢に怯む私。

「な、、なんですか?」
『なんか話に行き違いがありそうだから、じっくりと君と話そうと思ってね』

凄く涼しそうな顔して面白いモノでも見るように私を見下ろすから悔しい。
顔を見上げた私の目に、恐ろしく整った顔の口角がニッと上がったのが見えた。

この瞳に見つめられると、心を奪われているのは認めざるを得ない。
いま私の頭の中で警鐘が鳴っているのは間違いない。




数日後、彼の母親からお買い物を言いつけられて帰って来た時、この間 彼に迫っていたあの薬屋の女性が医院に入って行くのを見てしまった。気にしなくちゃいいのに、私はなんでも気になってしまう。

”今日はお昼じゃなくて、医院が終わるこの時間に合わせて来たのね”

私は邪な事を考えて、急いで家の玄関から入ると医院に続く廊下でまた耳を澄ました。

「×〇じゃないですか!」
『おい、やめろ! 俺から離れてくれ!』

ガタンと大きな音がして、そんな彼の焦った声が診察の中から聞こえてくる。
っていうか、今、離れてみたいなこと言ったわよね。まさか、抱きついてるとか!?

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