if…運命の恋 番外編Ⅱ『運命の出会い』
天はニブツは与えないと言うが、嘘のようだ。
『ほらッ? ボ~ッとしてないで お皿だして』
「えッ? あっ・・はい」
そこへ また彼のお母さんがやってくる。そんなに私が憎らしいのか、お母さんはニヤリと笑顔を向けて私に言ってくる。
「春子さん、、博多駅ん一風堂しゃんに注文した品物ば行って頂戴」
「博多駅の近くのですか?」
「ええ、そうよ。今からね」
「今・・ですか?」
「明日には必要なんやもん、ほら、早う行かなお店が閉まってしまうわ」
「わかりました・・・」
手に財布だけ持つと、私は駅の方向に足早に歩きはじめる。
冬の空は日が暮れるのが早くて、年末の夕方は何だか寂しくて、心も寒い。
”ふ~ッ 寒いなぁ、もうちょっと暖かい格好して来るんだった”
そう考えながら両腕を自分の身体に回して身震いをした。その時、私の背中から暖かいコートが掛けられた。
「えッ?」
彼が私の後に立っていた。
『そのままの格好で出たから、、風邪ひくだろ? 母さんが一緒に行けって、、』
「お母さんが? そうなんですか、、すみません。」
『謝らなくてイイよ。僕も一風堂は久しぶりだから、行きたいし、、』
彼はそう言うと私の手を掴んで歩き出す。突然の手つなぎに顔は真っ赤だろうし、耳まで赤くなっているかもしれない。
彼は私を見る事もなく、黙ったまま私の冷たい手を彼の温かい手で包んでくれる。
手袋もなくて、この寒空に出て来た私は、指先は勿論のこと凍えそうなくらい冷たくて、そんな私の様子をわかってくれているのか、彼はずっと私の手を離さなかった。
何だか、とってもあたたかい気持ちになって、ずっとずっとこの時が続けば良いってそう思った。