if…運命の恋 番外編Ⅱ『運命の出会い』
一風堂に着いたのが閉店前のギリギリの時間だった。私は片瀬家の使いの者だと伝え、お母さんから頼まれた品物を受け取るとお礼を伝えた。すると、一風堂の店主の叔父さんが私の顔をまじまじと見てくる。そして、彼に声をかけた。
「坊ちゃん、こん娘は坊ちゃんの嫁しゃんなんかい?なかなかあいらしかね」
『・・はい、ですかね・・』
「お嬢しゃん、坊ちゃんな男前やけん女から好かれて大変ばってんがんばりんしゃい。はよう、子供作りゃあよか」
「子供?えッ?、、」
私は言われた事に反応してしまったけど、彼は何も聞いてないみたいに平然としている。そしてお店を出る時に彼が言った。
『叔父さん、ありがとう、また来ます。今度は子供でも連れて』
冗談にしても、真面目な顔して言うんだから。
風呂敷に包まれた品物を受け取ると、彼とまた歩きはじめた。
彼が何も言わずに、私の手にあった風呂敷の品物を奪い取る。
「あッ・・それは私が」
『重いだろ? 俺が持つから』
街中ではジングルベルの音楽がかかっていて、サンタさんに扮したおじさんが私に声をかけてきた
「お嬢しゃん、美人やなあぇ、、あんね、これなんやけど」
声をかけられ立ち止まる私に、彼が振り返り少し怒ったような声で言った。
『春子! 帰るぞ。』
そして、私の手を再び掴んでしっかりと握ってくれた。
今、、名前呼んだ。春子って。感動した私の頭の中は今の事実でいっぱいだ。
今度は彼が足を止めた。そして私に振り返った
『せっかく博多駅まで出て来たんだから、美味しいモノでも食べる?』
「うんうん・・」
出来たばかりのお洒落な喫茶店に入って、メニュー表を二人で見て食べ物を選ぶ。こんな事、こっちに来て初めて。すごく嬉しくて、はしゃいでしまう。