クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
ひと通り説明を終えて、『用意スタート!』の合図でみんな散らばった。
すぐに駆けだすグループ、とりあえず歩きだすグループ、3手に分かれてスタンプを探そうかと策を講じるグループ。
メンバーが違えば行動も違う。
人前に立つという大きな役目を終えたわたしは、そんな千差万別のグループの動きを目で追う。
「西ヶ浜さん……」
すると、2グループほどが話しかけてきた。
心なしか表情が暗い。
「なにかありましたか?」
「それが、妃崎先輩たちがいなくて……」
「妃崎先輩……?」
あぁ佐紺先輩の彼女か。
「わかりました。わたしが探しますので、みなさんはスタンプラリーしててください。見つけたら連絡します」
「うん、ありがとう」
暗かった表情に笑顔が戻って、彼女たちはゲームを始めにいった。