クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
それにしても……困ったな。
ほかに暇を潰せそうな場所もモノもないから、イヤでもレクリエーションに参加してくれると思ったんだけど。
どこに行っちゃったんだろう?
「苫」
「……斑。どうしたの?」
「ん、」と言って、斑は南東の方角に視線をちらっと寄せた。
プライベートのバーベキュー場に暇を潰せる場所はないといっても、ロッジくらいはある。
南東の方角にはまさにロッジがあって、救急時のために平野さんが開放してくれている。
まさか……。
わたしは斑とロッジに走った。
……訂正。わたし“だけ”走って、斑は歩いて後を追ってくる。