クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
はあ〜〜〜。
わたしはため息を、心の中に吐き捨てた。
口で吐いちゃうと、嫌みに嫌みを返すみたいになっちゃうから。
どうにかして呼吸を置いたわたし。
「先輩、知ってますか?」
口端をわずかにゆるめて、ちょっと挑発的にそう前置きした。
「平野さんから聞いたんですけど……このロッジ、おもしろい話が眠ってるんですよ。みんなにはナイショです」
「……おもしろい話?」
──みんなには秘密だよ?
──あなただけに話すね。
──ここだけの話なんだけど……。
内緒バナシをするとき、ひょっこり姿を現すそれらの言葉には魔力がある。
話を聞く気がなくても、『内緒の話』と言われるとつい耳を傾けてしまう。
相手を自分の話に引きずりこませたいときに有効な手段だと、西ヶ浜組の人から聞いたことがあった。
「3年前のことらしいです──……」
………………
…………
……