クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「う、うち……もう行くわっ」
「あたしも……っ」
お団子ヘアーの先輩はすっと立ちあがると、急ぎ足でロッジを出ていった。
もう1人の先輩も、血の気が引いたような表情を浮かべながら後を追うように飛びだした。
ちょっとやりすぎたかな……。
わたしがした話は、端的にいえば、ほん怖話。
すべてを捨ててでも愛した彼氏に裏切られた女性がこのロッジで自殺を図った、というもの。
『その女性が今でもこのロッジを徘徊してるらしい』
とかそんな作り話めいた情報は一切つけ足さないで、できごとだけをつらつらと並べた。
それが余計に、彼女たちに恐怖を植えつける結果となった。
怖い話が得意な西ヶ浜組のアニキから怪談の注意点を聞いておいてよかった。
……まぁ妃崎先輩には効かなかったみたいだけど。